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生活を愛するのは、きみではなく、季節である
完璧な生活をしているなんて誰も言っていない。贈り物の高級みかんを腐らしている。足の爪が掛け布団に引っかかって糸が伸びた。刈り取った欠片をキッチンペーパーに丸め、玄関で口を開けている一杯のゴミ袋へよそ見してほうったら入っていた。片方の柄が曲がっていたのは、お気に入りではない方...
小心の告白──すべからく幼いポップソング へ/を 書くこと
飲まずに書けぬのはあの日の後遺症だろうがいずれ克服するだろうしそこまでの降りではないと全てを挟んだクリアファイルの簡易傘で頭を隠して今夜もタコの刺身と茄子焼きとボールペンを片手にビールは金色のような彼を笑んでほうっておいてくれるママがいるブロンズに染まる商店街の酒場に走った...
最後の恋は柔らかな鈴の声
ふわりとした焼酎の名を持った天使がステラマッカートニーはかわいい、とつぶやいた。最初に出かけた日の切りたてのボブカットの毛先が揺れ、別れる度、混み合う改札で求められて、その白い剥き出しの背中はやがて嘆く、新しい華奢な身体をくるんだ。果実の香りに一生苦しむことになった。あなた...
雨は永遠にやみ、屈託なき労働者の朝へ
毎日花を買って愛する人の元へ帰ることを夢見ていた。若い女性が多すぎる街というのもやがて苦痛である。カウンターの隣の女がトイレに立った。ふと彼女の連れのスーツの男から静かに憎悪されていた。悪感情も取り締りしまられるべきじゃないか。しかし警察や教師になるのはごめんだ。水炊き豆腐...


パンと赤ワインを合わせたい衝動
あなたの富があるところに、あなたの心もある:新約聖書マタイ福音書6章21節 Good morning. 海辺の街は冷えた綺麗な菓子のようで。 それで、どうしてこんなに毛が抜けるのだろう。白い床の片隅はボタンを開けたシャツから覗くジャービス・コッカーの胸元みたいだ。掃除機をか...
ラプソディーア──ジョアンとジョビンへ
海辺に近い商店街の入り口に降ってしまったような落ち葉な男は緩やかなシンコペーションに頭を揺らせて歩いていた。ハンバーグの一口目はなんとなく物足りなく感じても、二口目、三口目でわかってくる、店を出る頃には次の来店を考えている、そんな洋食レストランから彼は出てきたばかりで、若い...
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