夏の仕事終わりの夜には、一旦冷房を消して窓を開け、むっとするような海風の匂いと、素肌と汗の季節を愛して、大きなグラス一杯の氷に缶のレモンソーダと白ワインを半分ずつ注いで、さらにレモンをたっぷり絞れば、濃い黄色の、ほとんど満月の光が照らしている。タオルを取り、洗面台の鏡に映るのは二十代のような若者に見えるから、中年は髭を生やすだろう。明日、日差しにゆらめく白い線が走り描く愛の輪郭を横目に、真夏の熱を退場するだろう。
ユーチューバーの一人家呑み的なエンターテイメント。剥き出しの肉体と経験は、芝居をしていても、していなくても、映っている。孤独は魅力的に、歴史はそのままに、ハレーションのない演出に収まっている。露出狂が抱える痛みは、ずーっと奥 の方に隠されている。それは奥ゆかしいようで、隠れすぎていて本人にも見えていない、深い明暗。最高のようなと最低のような、が重なれば、必ず誰も抗えないから。本当に誰もが友人である。
But who asked you, anyway?
It's my life to wreck
My own way
これは愛のうたである。自然を愛するように。しかし皮肉も異論も何もかも認めたい。死後/死語のような、湧き出したインターネット民のじじばばの感性の卑劣はそれに値しない、と言うわけでもない。今までと何も変わらない。何も新しいことではない。いつも時間は残されていて、機会は誰にでも訪れるだろう。
You see, to someone,
somewhere, oh yeah
Alma matters in mind, body and soul
次の夜、狭い夜道で女を避けて通りすぎ、ふと道路側を見たら、混雑する駅のプラットフォーム越しに完璧な満月が、肌を思い出させるように白く眩しく光っていて。その男は、とても社会派ではないから、ちらちら見た。適当な飲み屋の入り口まで、月は追いかけていた。
歌詞引用
Alma Matters / Morrissey
